イントロダクション

2016年7月19日午前0時39分、深夜。
地球観測衛星「だいち2号」がモンゴルの草原の上を静かに飛んでいく。電波反射器の並んだ広場に集まった人々は、昼間の活動では見えない人工衛星の光を静かに目で追う。

本書で紹介する《だいちの星座》の作品は、一見すると〈夜空に浮かぶ星と星座〉に見えるが、JAXAが運用する「だいち2号」の観測画像を利用して制作した地上絵だ。人々が手作りの電波反射器を配置し、「だいち2号」が通過する方位に向ける。地上絵には観測されたデータと画像処理によって「1等星」や「星雲」が浮かび上がり、それらを結んだ新しい星座が地上に表れる。

 

ウランバートル郊外での深夜の実験の様子/この写真の最上部に、現地の参加者らが見た「だいち2号」の光跡が写っている。